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Dis 1. 海外に出るメリットは? 臨床救急医の就職@アメリカの場合

はじめまして。Twitterでアメリカ救急医療についてつぶやいている匿名アカウントのGreen, MD (@md_green)と言います。僕は日本生まれの日本育ち、international schoolや留学は経ず普通に日本の医学部を卒業しました。日本で研修を終え、しばらく救急医として働いた後にresidency(初期研修)からアメリカへ来ました。趣味は旅行、食べ歩き、筋トレとウィンタースポーツです。現在アメリカ某僻地で救急医をする傍らtwitter専門医取得に向けて研鑽を積んででいます。

医師の仕事は患者さんを診察する臨床業務と、データを集めたり実験をして論文を書く研究があります。これまでブログを書いて来られた先生方と違い僕は日本もアメリカも臨床メインです。

今回のブログタイトルはあえて留学ではなく就職としています。これはもともと僕が日本へ帰る予定の無い片道切符で来た事、来る前からアメリカと日本を純粋に職場として比較していた為です。それでは純国産かつ日米両方の臨床救急を経験した立場から救急医としてアメリカで就職するメリットについて書きたいと思います。

 

  1. 給与が良い

いきなりお金の話とは身も蓋もありませんね。お金の話をする事は日本、特に医療業界では歓迎されないかもしれません。ですからあえてそこから始めたいと思います。

日本の救急医の給与は地域性があると思いますが、専門医取得で年収1,000-1,500万程度が中間値と推察します。一般的にアメリカでは医師の給与は専門性が高いほど高い傾向にあります。Medscapeによればprimary careの年収$223Kに対しspecialistは年収$329Kとなっています(K=1,000)。同じくMedscapeによれば救急医の年収は$350Kとおおよそ真ん中くらいです。自分の知っている範囲であれば$250K-$350Kが最も多いと思います。

 

また州によっても収入は変わって来ます。ハワイは日本人に人気の州ですが、給与が安く生活費が高い事で悪名高いです。

 

さらに収入だけで無く、アメリカは所得税が州によって異なるため、住む場所によって可処分所得は変わります。例として<30代、独身救急医、年収$300K>がロサンゼルスとヒューストンに住む場合を比較してみましょう。

 

 

ロサンゼルス:手取り約$185K   

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ヒューストン:手取り約$210K

 

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試算ですがおおよそ年間$25Kの差ですね。ここにロサンゼンルスの高い家賃が加わるので、可処分所得差は更に広がるでしょう。

 

  1. 自由時間が取れる

近年救急の人気はアメリカの医学生の中で高まってきています(データ)。とくにテレビドラマの影響などでは無く、これは自由度の高いライフスタイルが魅力だと言われています。特殊な例を除いて救急医は8―12時間のシフト勤務で働きます。シフトが終わればコールは無く、full timeであれば通常120-140時間/月に働くのが一般的です。空いた時間を家族と過ごしたり、余暇に使うのも自由です。救急医は旅行好きな人が多く、人によっては2―3ヶ月に1回くらい1-2週間の海外旅行に出かけたりしています。

またpart timerとして複数の病院を掛け持ちしている医師も一定数います。彼らは州にまたがって働く事もできるため、夏はNY、冬はフロリダといった渡り鳥のような生活をしています。女性救急医の割合も日本に比べて多く過去10年での女性救急resident(=研修終了後は専門医になる)の割合は35%程度で推移しています。しかし医学生の50%程度が女性である事から現在の比率はまだ男女不平等と考えられており更に女性比率を増やそうとしています。  

Full timeかpart timeか、個人のライフサイクルに応じて自由に勤務時間を変更可能である事、女性にとってもより働き安い環境である事がアメリカ救急医業界の良い所です。

 

  1. 救急医の仕事の幅が広い

一般のERでの勤務以外にも、国立公園の医師、スキー場のクリニック、海岸のクリニックでの緊急対応、スポーツイベント時の救急医療、救急隊や消防の統括、集中治療室、中毒センターなど様々なキャリアを選ぶ事が出来ます。最近見つけた面白い仕事だと、NASCARというレースのチームドクターをインディアナ大学救急部の女医さんがされていました。

 

  1. 働く国の選択肢が増える

American board of emergency medicine (ABEM)の専門医資格を取ると他の国でも働く事が容易になる場合があります。近年サウジアラビア、ドバイ、カタール、中国などアメリカ資本の病院が作られており、そういった場所でも働く事が可能です。欧州の一部の国、NZでも可能なようです。こちらは今度調べて個別にブログかtwitterでまとめます。

 

 

  1. 日本を相対的に見る事が出来る

同調圧力、ムラ社会、再挑戦出来ないなど日本にいると負の面ばかりに目が行きます。しかし一度日本を出て生活してみると日本がどれほど素晴らしい国か分かります。知っているバーで銃撃事件、公共交通機関が一部都市以外役立たず、宅配便が行方不明になる、$10以下の外食がファストフードしかないetc.….アメリカのダメな所を数え上げればキリがありません。安心、綺麗、美味しい、の全てが格安で手に入る国は日本以外ないかもしれません(台湾のぞく)。

 

 

  1. まとめ 

とりあえず色々と書きましたが、こちらのメリットを一言で言えば「自由度の高さ」です。勤務時間、仕事内容、職場と本人の選択次第でいくらでも変えていく事が可能です。色々とややこしいのですが、極端な話日本に住んでアメリカで勤務する事も理論上は可能です。

しかしもちろんアメリカ救急医生活のデメリットも色々あります。医療訴訟のリスクは日本と比較になりませんし、救急医は燃え尽き症候群が多い事で知られています。アメリカ救急医生活のデメリットについてはまた今後別にこちらのブログにまとめようと思います。

今後twitterおよびブログで救急医の仕事、生活だけでなくアメリカライフハックについて引き続き発信していこうと思います。もし他に知りたい事がありましたら、アカウント@md_greenまでmentionあるいはDMください。それでは。

 

参考文献

 

  1. Medscape physician compensation report 2018,

https://www.medscape.com/slideshow/2018-compensation-overview-6009667

  1. ACEP Now, “Emergency Medicine Needs More Women Physicians”

https://www.acepnow.com/article/emergency-medicine-workforce-needs-women-physicians/?singlepage=1

  1. Smartasset, https://smartasset.com
  2. Journal of Emergency Medical Services,

https://www.jems.com/articles/news/2017/04/angela-fiege-m-d-joins-amr-s-nascar-safety-team-as-medical-director.html