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Dis 2. 海外での困難とその対策 匿名系麻酔科医の場合

ゆるふわますいと申します。アメリカで麻酔の臨床に従事しています。

日本産まれ日本育ち、渡米前にこれと言った特別な海外生活もありませんでした。

さて前回がメリットに関してだったので今回はデメリットとその対策・克服法となります。デメリットに関してはかぶる点が多そうなので早めの投稿です。

 

色々挙げていく前に大原則を申し上げると、

1.デメリットは克服した際にメリットになり得る

逆に、克服できないと帰国要因ともなります…

2.働く側が楽 = サービスを受ける側は大変

アメリカに対して、日本はお客様としては良い場所ですが働き手としては辛い場所ですね。

 

それでは参りましょう。

  • 英語

非ネイティブの自分からしたら全て英語でコミュニケーションを取らなければいけないのはそれだけで苦痛です。

「いや、それでも数年したら英語も上手くなってストレスなく話せるようになるんでしょ?」とお思いの方もいるでしょう。確かにストレスは間違いなく減りますが、これがゼロになることはこの先訪れないと思います。

ましてや漫画で見るような、英語を全く勉強していない・知らなかった人が1年くらいたったらペラペラに!というのは超がつくほど非現実的な話なのです。TOFEL iBT 100点を超えたとしてもまだまだ片言の外国人、しかもなんでこんなに他の外国人より喋れないんだろうと苦悶する日々が続きます。

さらに、

サービスを提供する時の英語>サービスを受ける際の英語

レジデントなど下の立場として使う英語>上司や上の立場として使う英語

となります。要は自分の話をよりよく聞いてもらえる立場かどうかがコミュニケーションの難易度に関わります。どこの馬の骨ともわからない下っ端外国人の言うことなんてあまり丁寧に時間をかけて聞いていられません。

この英語問題も少しずつ打開してきた後に文化の違いという問題が出てきます。

  • 試験多すぎ

USMLEの各試験を終えただけでも息絶え絶えなのに、レジデンシーに入ると毎年1つかそれ以上の試験を受けることになります。しかも大概、外国人としては次のキャリアのために点数もしっかり取らなければいけません。仕事→勉強→仕事→勉強…といった具合で1年が素早く過ぎていきます。

  • 出費

試験の費用、面接のための渡米費用、マッチプロセスの際の費用、生活費用と、なにかと嵩んでいく出費です。

例えばUSMLEは各試験受けるだけでも大体10万円くらいかかります。Step 2 CS/Step 3は米国で受ける必要がるので渡航費もかかります。試験対策費は人によりばらつきますが、Kaplan Step 2 CSの講習は交通費除いて30万円ほどかかるのに、それでも受講する人が多いです。

日本で働きながら面接に呼ばれるのを待ち、呼ばれたら航空券やホテルなど日程を組みます。事前に航空券を確保しにくいので、どうしても費用が嵩みがちです。しかも面接旅行は1度とは限りません。

生活面での物価の高さも重要です。日本の物価が停滞するなか、着々と米国の物価は上がってきています。ニューヨークやサンフランシスコのあたりは特に高く、中心部の家賃はStudio(ワンルーム)でも2000ドルを下ることはないです。家族で渡米するとなるとTwo bedroom(2LDK)以上は欲しいところなのでもっと高くなります。

以上の2つの都市は全米でも最も高い地域なので実際はもう少し家賃は安くなりますが、それでも東京より高いと感じる場所が多いです。是非Apartments.comなどで検索してみてください。ときどき見つかる異様に安い物件は治安が悪い地域の可能性が高いです。

  • 食事

自炊が得意でない方は非常につらいです。ファストフードはそれほど選択肢も多くありませんし、割と高いので、毎日食べるのは現実的ではありません。毎日外食なんてもってのほかです。

仕事場で出てくる食べ物もピザ、ピザ、ピザ…。ときどきメキシカンがでてきたらうれしい気分になりますし。ましてチャイニーズやインディアンだったら幸せな気分になるくらいにはピザに慣れてしまいます。

尚、基本的な日本料理の調味料はどの場所でもアジア系スーパーか日系スーパーで手に入ります。最近はTwitterを始めとしたSNSでアメリカ自炊の情報が得られるので食事のストレスは少なくなっているように感じます。

  • 各手続の煩雑さ

新しい国で新生活を始めるので各種手続きが必要になります。筆頭はビザです。ビザを申し込む前に既にいくつかの書類(DS-(数字)など)を用意しなければいけません。大使館面接もありますし、ビザを獲得しても定期的に更新しなければいけません。

住む場所の契約、SSN (social security number)獲得、銀行口座開設、(必要なら)車の購入と運転免許証、などお役所関係巡りが非常にストレスフルです。家族込みならその手間も増えます。

  • 治安、銃社会

日本に比べると治安の悪い地域は多くなります。幸いなことに治安の悪い地域は分かりやすいです。

あとは出費のお話と重複しますが、安全を手に入れるためには安全な地域に住むことが重要となるので、どうしてもある一定以上の家賃はかかります。

  • 在米日本人麻酔科医の結婚の予後の悪さ

最後にですが、渡米前に結婚していた麻酔科医の方々のその後の状況があまり良くありません。ここでの予後の悪さの定義は、離婚、婚約解消、初めから単身赴任、途中から家族だけ帰って単身赴任、としています。対象は臨床をしている麻酔科医です。

計10人で、離婚3人、婚約解消1人、初めから単身赴任2人、途中から単身赴任1人といった結果です。

お決まりのLimitationです。これは観測範囲内の少ないサンプルでのお話なので参考程度にとどめておいてください。日本の麻酔科医のデータを見つけられなかったので比較もできていません。さらに個々人の幸せはどこに求められるかは異なり、その後どう暮らしているかは考慮されていないので、これがそもそもデメリットであるかは捉え方に依ります。

 

以上、デメリットを挙げていきました。

残念ながら具体的克服法がなかなか思いつきませんでした。敢えていうなら英語の不足は勤勉さでカバー、試験はひたすら我慢、でしょうか。

これが米国留学を諦める理由にならず、一助になればと願っています。