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Dis 2. 海外での困難とその対策 基礎ラボに入った臨床医の場合

 こんにちは。私はこれまで麻酔科専従→集中治療専従→救急&プレホスと経験をしてきた、今はそうですね「草食系救急集中治療医」です。今はアメリカのカリフォルニア州、シリコンバレーで基礎研究をしています。

正直困難ばかりなのですが、特にきつかったことを挙げてみます。

 

1.留学先の選び方

 日本では臨床しつつ大学とコラボして基礎研究を続けていました。日本では自分の研究費があり割と自由にやってたので、留学先も絶対人の世話にはならない、絶対自分で決めるとイキってました。

 自分の研究テーマと重なるラボのPI(Principal Investigator)に履歴書(CV)をつけてメールを送りました。数日後何を間違ったか、その分野のトップラボのようなところから返事が来ました。通常のポスドク(博士研究員)採用プロセスと同じように、スカイプで面接、推薦状の提出をし、その後アメリカに実際行って、自分の研究テーマのプレゼンを皆の前で1時間、その後全ラボメンバーとの個別の面談を2日かけて行い、受け入れが決まりました。いろいろなことがあっという間に決まっていき、浮かれていた自分はあまり身の程が分かっていなかったのかもしれません。案の定、ある分野の最先端の手法を駆使した研究をしているところに、ちょっと片手間に研究してた臨床医が突然入って仕事ができるわけでもなく、渡米後いきなり研修医1年目の4月に引き戻された状態になりました。

正直これは非常につらく、何しに来たのか、と毎日鬱々とした日が続きました。それなりにいけると勝手に思っていた英語も、ミーティングでほとんど知らない専門用語ばかりのネイティブのディスカッションが理解できるわけもなく、言葉に聞こえないノイズの中で孤独感だけが残りました。ラボから次々出る論文のIFがどれも異常高値で、こんなの自分に書けるわけないとさらにへこみました。

そんな中、周りのポスドクがランチに誘ってくれたり、ボスも「これ最初だれも理解できないから大丈夫だよ。最終的に将来に生かせるようにしよう」と気にかけてくれ、少しずつ環境や仕事に慣れていきました。ラボの中で医者は僕だけなので、臨床経験からいえることから少しずつ意見を言ってみるようにしました。このへんのラボの雰囲気はすごく大事なので、見学の段階から十分気にしておくべきと思いますが、私はただ運が良かっただけです。

臨床医から基礎研究ラボに行くのであれば、本職の研究者とのギャップを理解して、育てようと思ってくれるPIをちゃんと選ぶことが大事と思います。

 

2. 生活のこと

 シリコンバレーはアメリカでも最も家賃の高いところです。Studioという、日本でいうワンルームでも$2000/月以下はありません。家族連れだと$3000-4000/月いきます。しかも相当古いです。他のDrも書いておられますが、アメリカでは家賃は治安に直結しますので、ここは削りにくいところだと思います。単身なら学生向けに比較的安価に1部屋を貸してくれるようないわゆる下宿もあり(それでも$1000/月以上はしますが)情報収集が重要です。買い物をするにしても外食をするにしても物価がものすごく高いです。あとNYとかボストンみたいに公共交通機関がないので、車がないと生活できないです。というわけで絶対持ち出しになるので、お金のことは十分準備しておいた方が良いです。

食事に関してはLAもSF bay areaもカリフォルニアの都市部は日本食には全く困りません。日系スーパーも多く、日本のものは何でも手に入ります。毎日日本にいたときと全く同じもの食べてます。ただ外食は高いので私は避けていて、お昼もお弁当持参してます。

 

3. いろいろsloppy

 宅配は雑です。家の前に荷物が置いてあるのは普通、門から中に投げ込んであるのも普通、再配達に回数制限あり、時間指定はあってないようなもの。この程度で心を揺らしてはいけません。AmazonはAmazon lockerがいろんなところに設置してあり、これを使うようになってからストレスが減りました。

 役所はまぁまぁ雑です。カリフォルニア・運転免許で検索すると「免許が届かなかった」「自分で問い合わせるまで放置」「延々たらい回し」など多数見つかりますが、たしかにそういう人もいます。でもこれはかなりバイアスがかかっていて、ちゃんと届く人の方が多くてそういう人は文句書かないので、状況次第としかいいようがないです。ただ今年は大規模な山火事のせいで大気汚染がひどい日があったのですが、同僚が予約の時間に実技試験に行ってみたら事前になんのお知らせもなく「今日はやらないよ空気悪いから」と突然言われたりしてました。

ところで、学科試験の予約は数ヶ月後まで取れず、アポなしでいくと数時間の行列は当たり前なのですが、キャンセル待ちを見つけ次第予約を代わりに入れてくれる民間のサービスhttps://yogov.org/というのもあり、これがものすごく使えます。3日後とかに予約取れたりしてストレス激減。基本的にお金をたくさん払えばどんどん快適になるし、サービスも良くなる、お金持ちにとっては住みやすい、そういう国なんですね。

 保険会社ですら、頼んだことやってないとか、忘れてたことをこっちが指摘すると「それもあり」みたいな感じで何事もなかったかのように話が進むのは普通です。

 

 いろいろありますが、困難というか、まぁ違う国に住むというのはこういうことなんだろうと思うようになりました。それを補って余りあるメリット、得られるものがあるとおもってます。では✋️