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Dis 2. 海外での困難とその対策 基礎研究医@中西部の場合

はじめまして、ほぼ実名アカウントの@Kazu_Kasaharaと申します。

卒後4年間は初期研修&循環器内科の専門研修を受け、その後、大学院に入学し基礎研究をはじめました。学位取得後、2015年から家族とともに渡米し、中西部にある大学の基礎系のラボでポスドクとして研究を続けています。

 

前回のお題「海外に出るメリットは?」には参加できなかったので、まずは少しだけ触れさせてください。

仕事(研究)面でいうと、豊富な研究費があり、今まで触れたことのない新しい実験手法にも取り組めているので満足しているのですが、そういうラボはおそらく日本にもありますし、逆に余裕のないラボもアメリカにもたくさんあるので、「海外に出るメリット」ではないかもしれません。

 

それよりも、いろいろな物事に対して俯瞰的な視点で考えるように意識するようになったことが大きいです。日本で生まれ育ち日本の義務教育、医学教育を受けてきた私にとって、アメリカでの生活や子供の教育は新鮮であると同時に、これまで当たり前と思ってきた日本のいろいろな事にも関心を持つようになりました。2つの軸ができたことで、実験でいうところのコントロールができ、比較することも多いです。アメリカのシステムが100%正解ということでは決してなく、いろいろ問題を孕んではいますが、世界トップのGDPを誇りさらに持続的な成長を続けている国から学ぶことは多いのかもしれません。すぐに「アメリカでは…」と主張する出羽守にならないように気をつけなくてはなりませんが、比較することで日本では意識しなかったことに疑問を抱くようになったのも事実です。

 

さて、今回のお題「海外での困難とその対策」です。

 

語学力

 

私の場合、1にも2にも語学力不足です。その対策も、一朝一夕にどうにかなるものではない気がします。

 

と言ってしまっては元も子もないですが、語学はスポーツとか筋トレとか同じように、向上するにはトレーニングが必要不可欠ですが、その成果を実感するまでは時間がかかります。私は大学時代、勉学はそこそこにテニスをしていましたが、当初は試合に出られるレベルではありませんでした。テニスを要素に分けると、サービス、リターン、フォアハンド、バックハンド、ボレー、スマッシュ + 体力や俊敏性、戦略などがありますが、全てを短期間で向上させるのは無理と考えて、フォアハンドの練習と体力の強化だけに取り組んだ時期があります。語学も、語彙、文法、発音、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングなどの要素がありますが、渡米当初は相手の内容を理解するのに精一杯だったので、リスニングに集中的に取り組みました。全ての要素を毎日まんべんなく取り組むのは時間的に無理なので、期間を決めて集中的に行うのが私には合っています。

 

システムの違い

 

特に渡米当初にストレスになったのが、生活に関わる細かなシステムの違いです。かかりつけ医(Primary Care Physician)の選び方、医療保険のこと、アパートの契約、車の購入、自動車保険への加入、銀行口座の開設、ソーシャルセキュリティーナンバの取得などです。しかし、アメリカは日本よりもwebでの手続きが普及しているので(図書館にいってもお年寄りの方が普通にパソコンをしている!)、電話でこれらの手続きをしていた時代に比べるととても便利になっていると思います。また最近は留学に関する書籍やウェブサイト(このブログも!)がとても充実してきています。さらに大学や研究所のある都市部は、リベラル系の人が多く占め、留学生や移民にも寛容なことが多いです。実際私の住む中西部の田舎の町でも、大学周辺には多くの留学生が住み、アジア系のスーパーがあったりします。

 

家族

 

留学生活も4年目を迎え、いろいろ考えが変わってきたのが家族のことです。私自身は自分が好きな研究を目的として来たので、多少の困難や失敗があっても受け入れられますが、家族はそういうわけにはいきません。子供がふたりいて学校に通うような年齢になってきました。当初は、学校生活を通じてアメリカ文化を学んだり英語が身についていい経験になると思っていましたが、最近ではいかに日本語教育をキャッチアップさせるかが課題になっています。兄弟での会話は英語がメインになっていますし、普段目にすることのない漢字を根気よく覚えてもらうのは、親子ともに負担になっています。

 

また研究者としての給料は、日本で医師として働いていた時の何分の1かになっているので、金銭的にも楽ではありません。西海岸や東海岸の大都市に比べると生活費、特にアパート代は高くありませんですが、それでも様々なサービスや商品の値上げを目にすることがあり、生活実感としてインフレを感じる場面は多いです。また子供をアフタースクールの習い事に通うのも簡単ではありません。今後、どれくらいアメリカに滞在して日本に帰国するかどうかもはっきり決まっていないので、それも家族の不安の一因になっているかもしれません。

 

この他にも他の先生方が述べられているようなたくさんの困難があり、私自身が今後新たにそれらに直面することがあるかもしれません。様々なバックグラウンドを持ち、世界で活躍される先生方のご意見をまとめて見ることができるこのサイトから、何らかのヒントが得られるかもしれません。何かご質問がありましたら、アカウント@Kazu_KasaharaまでDMください。