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Dis 2. 海外での困難とその対策 留学奨学金のすゝめ

アメリカで臨床研究をやっています Taku Inohara と申します。

 

海外での困難に関しては、語学、治安、医療へのアクセス、サービスの質、脆弱なインフラ(頻繁な停電とか断水とか)、食事、風呂(浴槽が浅いとか)、国際情勢などなど挙げればキリがないですが、住んでるうちにかなりの部分が適応できるもんだなと気がつきました。住めば都です。

 

自分にとっての一番の困難は「お金」です。こちらで就職されている先生方にとっては、むしろこちらの給料の方が日本よりも良いのでは?っと推測しますが、自分の場合は、現在の施設からの給料はありませんので、ここがかなりキツイです。無給の施設に留学することには賛否があるかと思いますが、メリットも多いと思います。一つは、その領域でのトップ施設にも潜り込める可能性が高くなる。もう一つは、雑用がない(少ない)ため、自分の研究に集中できる。もちろんこれは、ラボの状況にもよるかと思いますし、ラボによっては逆に責任ある大きな仕事を任せてもらえないというデメリットもあるかもしれません。

 

自分の現在のポジションの募集要項に「Research Fellowに対する給料面でのサポートはなく、奨学金などを獲得することが応募の必須条件」と明記されています。そのため、給料交渉の余地はありませんでした。基礎研究であれば、「ポスドク」という立場で給料を留学先から得ることも十分に可能だと思います。一方で、臨床研究による留学である場合には、留学先から給料を得ることはハードルが高いように思います。また近年は状況が少しずつ変化していますが、一般的に臨床研究での留学の場合には、いわゆる留学グラントの獲得も基礎研究と比較すると困難なことが多いように思います。

 

そのため将来、留学(特に臨床研究領域で)を少しでも考えている方には、①少しでも貯金をする、②留学グラントの選考で有利になるように(学会発表だけでなく)論文を書く、③大学に所属している場合には学位を取る(留学グラントの応募要件に学位を課すものも多い)、ということをお勧めします。

 

以下に、自分の調べた範囲での国内から応募できる留学グラントの一覧(心血管領域が中心ですが他分野での方々も参考になると思います)を載せます。

  • 日本学術振興会 海外特別研究員
  • 上原記念生命科学財団 海外留学助成
  • ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)
  • 日本循環器学会留学支援助成
  • 第一三共生命科学研究振興財団 海外留学奨学研究助成
  • 三越厚生事業団 海外留学渡航費助成
  • 先進医薬研究振興財団 海外留学助成
  • アステラス病態代謝研究会 海外留学補助金
  • 内藤記念科学振興財団 海外研究留学助成金
  • 公益財団法人 MSD生命科学財団 海外留学助成
  • 臨床薬理研究振興財団 海外留学助成
  • 鈴木万平糖尿病財団 海外留学助成
  • 日本心臓財団・バイエル薬品 海外留学助成
  • 中谷医工計測技術振興財団 技術交流助成留学プログラム
  • 持田記念医学薬学振興財団 留学補助金
  • かなえ医薬振興財団 海外留学助成金
  • 日本血栓止血学会 海外留学助成
  • 日本心エコー図学会 海外留学助成
  • 日本生化学会 早石修記念海外留学助成

 

オススメは学術振興会の海外特別研究員です。留学先の地域にもよりますが、北米では約620万円/年×2年間の支給になります。また自分は領域が異なったため申請しませんでしたが、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムも3年間の支給になるため魅力的です(英語で申請書を書く必要があるようですが)。基本的には複数のグラントからの重複の需給は認められていませんが、金額や条件によっては重複が可能な場合もあります。自分は、学術振興会およびかなえ財団からご援助を頂き、留学生活を送ることができています。

 

お金のことはあまり語られないことが多いですが、実際に留学するとなると、かなり切実な問題となります。その他にも、留学のダークサイドは挙げればキリがありませんし、「生活する」あるいは「仕事をする」ことだけ考えれば日本にいる方が遥かに楽だと思います。ただ、ダークサイドもポジティブに捉えると、色々と学ぶことができるきっかけになっているように思います。

 

何かご質問やお役に立てることがあれば、@taku_inoharaまでDMください。