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Dis.4 留学中の収入はどうしていますか? -雑草外科医の場合-

中学校時代に流れ星が消える前に願い事を3回言うと叶うということを紹介され、

英語の先生が音速で『カネ・カネ・カネ!』って叫んだのにドン引きしましたが、

お金は留学しているDrにとって最もCrucialな問題です。

 

留学する国および家族の人数によってかかる経費はは全く違います。特に北米や欧州は物価が高いです。物価と言うのは、家賃が一番気になりますが、食品、生活雑貨など多岐に渡ります。

加えて、せっかく外国に来たのだから旅行しようと余計な出費もあるでしょう。

一般に臨床留学ではそこそこの給料をもらえるのでそこまでお金にシビアではないですが、研究留学では給料は決して高くはないので注意する必要があります。

よく、年間1000万円は使うと言われますがまさにその通りで、うちのようにどれだけ切りつめても年間500万以上は使う覚悟が必要です。先輩で無給で臨床の見学に行き、2000万円を一年足らずで使い果たして帰国せざるを得なくなったケースもあり、志以外に金銭管理も重要であるのが留学です。

 

研究者の先生のブログ等で多々議論されていますが、私のケースを紹介したいと思います。純研究者の経緯ではなく、MDが急に大学院に入ることになり、同時に研究留学することになったケースレポートとしてご覧ください。

 

お金の入手先は、

1.勤務先からもらう

2.日本の勤務先、医局、企業からもらう

3.グラント、奨学金を獲得する

4.帰国時にバイトする

5.親に頼る

があるでしょう。それぞれ簡単に解説します。

 

1.勤務先からもらう

働くのだから勤務先から収入をもらうのは当然だろうって突っ込みが来そうですが、世界の一流施設では常識ではありません。特に日本人は無給でもハードに働くことが世界的にバレていますので、なめられている感も否めません。無給に関しては、信頼を気づいてステップアップするという過程の一部としてありだと私は思いますが、無給というのは給料を払うpositionに当たらないという厳しい事実が北米の常識なので、焦ることこの上ないと思います。この場合はどこまでの成果で給料が出る正式なpositionがもらえるのか具体的に戦略を練っておく必要があると思います。

北米ではカナダもアメリカも最低賃金が決まっており、これに満たない場合は就労ビザが発行されません。カナダは4万ドル、アメリカは5万ドルを超えてきます。勤務先からこれに満たない支給額を提示された場合は下記のグラントや奨学金、ないし財産証明を提出しないとビザが下りません。稀に給料を偽装するために予め年俸額をこちらが大学に払って、あたかも給料をもらっているように偽装するケースもあります。(本当は自分のお金が循環しているだけ)

いずれにしても、必ず勤務条件は面接時に確認しておくことが賢明です。見学で研究室に行くこともあると思うので、必ず(未来の)同僚に生活費や家賃等について細かく聞いておくことが重要です。

ただし、私もボスから振られて、今世界中のアプリカントから連絡をもらいますが、いきなりお金や休日について聞いている奴は無条件にomitしてボスに報告していますので注意です。(日本人でそんな失礼な人はあまり見ませんが)

実際、私の給料はFull salaryを獲得できたと言えどカナダの最低賃金程度でしたが、今年は25%給料アップしています。グラントも取ったのでさらに上げてもらうつもりです。

 

2.日本の勤務先、医局、企業からもらう

臨床のObserverでよくあるパターンです。日本の大学医局は貧乏なのでこのように個人にお金はくれませんが、一般病院や企業から援助が出る先生は多々います。これが得られたらラッキーこの上ないですので、いまの日本の勤務先でよく聞いてみましょう。

ただし、地域の医師募集にかこつけた補助金は、渡航期間×数年の勤務Dutyを課してくることもあり自分のキャリアプラン、特に留学の延長や希望の就職病院に制限がかかることもあり注意が必要です。

 

3.グラント、奨学金を獲得する

手っ取り早いのがグラントないし奨学金の獲得です。通常の研究留学はPhD取得後ないし取得見込みで論文が通った後にApplyするので日本学振をはじめとして様々な企業援助もあります。年間400-600万円をくれるものもありますので、しっかり調べて応募することをお勧めします。また年齢制限やPhD獲得から何年以内、留学後は申請不可など制約もありますので留学を意識する人は院生中から確認してください。

応募の際に必要なのは、自分の今までの研究課程と、留学先の内容のマッチ、そして何より留学先の実力/ネームバリューです。1でも述べましたが、インタビュー時、見学時にはどれだけの論文が毎年出ているか、日本と何が違うのか明確に把握しておくことが重要と思います。

私は大学院生で入学と同時に留学を勝ち取ったので、もちろんPhD資格はありません。それどころか6月に採用が決まり、翌年から留学するのに、そこから応募できるグラントはかなり少なかったです。結局、2つ応募して奇跡的に獲得しました。

一つ目は学振の若手研究者海外挑戦プログラムです。

www.jsps.go.jp

これは最近できたばかりのものですが、博士課程での応募を基本としており、採択されれば100-140万程度の生活資金と旅費、ベンチフィー(20万円)をもらえます。期間は最長一年。採択率は私の年では医学分野:6割程度でした。

二つ目は所属大学の奨学金。100万円ほど頂きました。あまり知れらていませんが、大きい大学には国際学会出張、短期留学の支援制度があることがあるので、教務課やHPで今一度チェックすることをお勧めします。

留学してしまった後は海外グラントをゲットしてしまいましょう!海外グラントは日本のグラントよりCV(履歴書)での戦績誇張として使えます。大きい大学や研究所なら学内グラントもあるでしょうし、国や市民団体(Founder)からのグラントもあります。いずれも日本より巨額で名誉も付いてくるので狙ってよいと思います。私は実はこれに2回負けまして、留学して約1年半立ちますが4戦2勝です。プレゼンテーションや英語での申請書の書き方は非常に勉強になり、自分が症例PIとなった際にどこが重要か申請書のいろはも指導してもらえるよい機会です。研究費に使う場合でも、ラボ資金が潤沢であればそのまま給料として変換してくれます。

 

4.一時帰国時にバイトする

MDの強みは医師免許ホルダーであることです。帰国時にちょろっとバイトするだけで稼ぐことができます。大学系列の寝当直や、知り合いを通じた外来バイトなどリスクがそこまで高くなく、ある程度給料が良いところでバイトするだけで帰国時の交通費を稼ぐことは可能です。

 

5.親に頼る

これはあまり好ましくないですし、30-40歳のMDがそんなことするのかと思いますが、実際これに助けられているDrは多いはずです。特に親も留学経験者の場合はつらい時期と分かっているので仕送りをもらう人は多いでしょう。うちは残念ながらそういう裕福な家系ではありませんが、もし子供が留学したら援助してあげたいと思います。(それほどにお金管理は大変)

 

総じて、マネーリテラシーがあって株や投資をして貯蓄していた先生は全く違いのでしょうけれど、ただ言えることは留学を目指すならお金は貯めておけっという教訓です。

 

これを読んで、うわっと引いた人は正常な反応です。

日本に無いものを習得するために自分の築いてきた安住の環境をリセットして海外で一から立て直すという過程は仕事でも私生活でもストレスフルですが、それだけの価値があります。しっかりとした目的意識を持って、留学場所で何をしてくるつもりか明言できる人ならこの壁はクリアできると思います。