International Doctors (IDs)

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成績いいからって医学科来るな?

International doctorsの内容とはちょっと関係ない内容ですが、まとまって言っておきたいことがあるので書かせてもらいます

 

ふと目に入った現役医学生さんのブログ

要旨は、受験までの成績が良いからって医学科に入ると苦労するし、他にも気になる職業があるなら後悔するぞ!という内容。

 

anond.hatelabo.jp

 

正しい!!!

概ね賛同します!自己の経験だけでなく説得力を持って客観的な視点で論じています。

ただちょっと悪いところだけが誇張し過ぎている感があります。

『攻める医学生』を推すちょっとだけ先輩の雑草外科医としては言っておきたいことがいくつかあります。

 

1.医学部に入る前に将来像をすべて決める必要はない

2.医学部生だって大学生活を楽しめる秘訣

3.医学を学ぶ楽しみ

4.将来の航路は無限大

 

1.医学部に入る前に将来像をすべて決める必要はない

日本の教育制度では、医学の片鱗も学ばずに18歳で医学部を受けるか決める必要があります。(もちろん社会人になってからも受験は可能ですが、大多数はここで決めるはずです)

これは昔から批判の対象で、欧米のように一般の大学を卒業してからMedical schoolを受験するわけではないので、紹介したブログのように入学してから医学に興味が全くないまたは他の職業になりたい、またはついて行けないという辞退者の割合は高いです。(逆に最速で医師になることができるので、それがAcademiaにどう影響するかは別として世界的に異例の速さで医師としての経験を積むことが可能です。)

私がいるカナダでは一般の大学までほぼトップの成績で卒業して受験しても足りず、その後マスターコースや研究室での論文作成などをしてようやくMedical schoolに合格するケースが普通です。一般の大学での生理学や細胞分子学など医学に近い内容を勉強しています。この道のりは相当なmotivationと努力が必要なので、頭が良いから医学部に入ることができるという日本の環境と比べ物になりません。しかも彼らは医学部卒業までに生活費や授業料など平均で1000万円を超える借金を背負って医師になりますので医師として働くという意志は非常に強いです。

ここから言えることは、海外に比べ、日本の現状で医学部受験時に医学に適性があるか結論付けるのは不可能ということです。よって明らかな医療職以外の夢を持っていない限り、今は医学に興味があるなあという程度で選んでもらって十分と思います。実際にカリキュラムで臨床医、研究医の実際を見て、科の選択含めて自分であれこれ考えて将来を選択するのが妥当と思います。

 

2.医学部生だって大学生活を楽しめる秘訣

おそらく授業の多さ、要求される勉強量の多さでお腹いっぱいになっている方が多いと思います。確かに他学部よりは勉強量は多いのは事実です。卒業までに辞書のような厚さの本を何冊も暗記して使いこなす必要があります。ですが、これには2つの対応策があると思います。

まず一つ目は、最初から自分に自信を持てってことです。何倍もの倍率に勝って医学部に入学できるSpecがあれば対応できない内容は皆無と思います。『自分にできない内容はない!コツコツやればきっとクリアできるはず!』って本気で思わないと絶対に勝てません。カリキュラムでの勝ち方、学部内でのチームの作り方は私の本で詳しくご紹介するので省略しますが、まず気持ちで負けたら前(努力のStep)に進めません。

二つ目は、マルチタスクを処理する能力を身に着けることです。高校までと大学が最も異なるのは自主性です。自分で考えて学ぶ必要があります。それに必要な第一のステップは『計画性』です。手帳またはスケジュールアプリを入手して、時間ごとに何をするか計画します。時間は有限です。この時間には何をするか、最大効率で綿密に決めるのです!もちろんカリキュラム(講義、試験)が最優先になりますが、少しでも効率よくするために講義では絶対に寝ないでその場で覚える、講義が終わったら即切り替えて、デート、部活、バイト、麻雀などなどうまく配分する!これをするだけでだらだら大学生活を送る学生よりよほど多く遊べます!遊ぶ時間は足りないのではなく、自分で作るのです!これができていないと試験前に焦って生活リズムを崩壊させて勉強し、追試になってさらに遊ぶ時間が減るという奈落の底に直行です。

他学部よりシビアにSelf confidenceを保ち、Time scheduleを設定すれば、医学部生活が遊べない+つまらない学生生活には決してなり得ないと思います。

 

3.医学を学ぶ楽しみ

これが最も重要なパートです。興味がある分野は自分で見つけないといけません。講義で習って興味を持つのもよいきっかけですが、いまいち興味が持てないなら自分で行動すべきです。図書館で調べる、先輩に聞く、研究室や医局に話を聞きに行ってみる、実際に病院で見学してみるなど選択肢はたくさんあります。まさかこれらをしないで医学はつまんないと結論づけるのは早すぎます。そもそも講義や試験で問われる内容はBasicなものばかりで学問として、Scienceとしての医学の面白さのさわりも伝わってきません。大学はAcademiaの塊なので、学生という立場からはその道のSpecialistの話が無料で聞けます。『ちょっとこれに興味がありまして』、『HP or 論文で読んだのですがこれってどういうことなのですか』って聞いたら自分で調べる何十倍の知識を解説してくれますよ。これは学生の特権です。かわいい後輩を蔑ろにする先輩Drはいませんし、丁寧に教えてくれるでしょう。この機会を逃すわけにはいきません!

自己のCuriosityを最大限に刺激することが医学を楽しくする大事な手段です。

 

4.将来の航路は無限大

医学部からの進路は多々あります。全員が臨床医で病院に勤めなければいけないわけでは決してありません。基礎研究者、官僚、ベンチャー企業、作家など医学を学んだことを活かした進路はかなり多く存在します。私の知り合いも臨床医をやめてしまった者が多々いますが、多くの人が医学のキャリアをうまく使って楽しそうに生きています。進路を選択すべき時期に、その時一番やりたいことをやればよいと思います。

これは医学部在学中も同じです。医学部に入学したけど、どの選択肢もピンとこなかった、やりたいことが別に見つかったと思えるならその進路に変更すればよいだけです。中退となると医学部時代は人生の無駄と感じてしまう人がいると思いますが、本当にやりたいことが見つかったという意味では人生に無駄な時間はありません。むしろ医学部辞めてやったぜという高みの気持ちでどうぞ。

 

最後に

医学部のカリキュラムは過酷です。他学部と比べることにあまり意味はありませんが、大学生生活は遊びだけと考えている場合はやめた方が良いのは事実です。上記説明のようにめちゃめちゃ楽しい生活が待っていますが、紹介したブログのような覚悟はある程度は必要と思います。

でも私からすれば、医学部学生時代は超楽しかったですし、医師になってからも、外科医になってからも、院生になってからも刺激的で楽しすぎる毎日です!来世など信じていませんが、もう一回大学生から始めるとしても医学部を選びます!

考え方ひとつで大きく変わる部分もあるので今回コメントさせて頂きました。読んで頂きありがとうございます。

 

追伸:

上記もまとめた雑草外科医の医学生・若手外科医に送る本は2020年夏に発売予定です!

本やのみならず生協にも置いて頂きます。気になったら読んで頂けますと幸いです。